解析不能な構造化データとは?ツールの見方やよくあるエラーの対処法
サーチコンソールには、Webサイトに関する問題点をメールによって通知して、修正を促してくれる機能があります。そのため、ある日突然「解析不能な構造化データ関連の問題が検出された」という旨のメッセージが届き、解決法に悩む人もいるでしょう。
当記事では、解析不能な構造化データの意味や、代表的なエラータイプの概要と対処法について解説します。「構造化マークアップを実践し、SEO対策に役立てたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
1.解析不能な構造化データとは
解析不能な構造化データとは、構造化マークアップ(クローラー・検索エンジンに対する情報伝達に適したマークアップ手法)のミスを指摘するサーチコンソールの機能です。「構造化マークアップに挑戦したものの、記載方法を誤った」などの状況で、制作者のミスを指摘・警告してくれる便利な機能にあたります。
構造化マークアップにミスがあると、意図した通りの内容を検索エンジンに伝えることが困難です。解析不能な構造化データを活用していち早くミスに気付き、修正することで、企業名やコンテンツ内容、Webサイトの構造などを適切かつ正確に伝えることが可能です。
そもそも、構造化マークアップは下記のようなねらいを持ち、採用する手法にあたります。
- 検索結果画面に評価や価格、パンくずリストなどを表示し、クリック率の向上を図る
- Googleのリッチリザルトへの掲載を促し、クリック数を稼ぐ
検索結果画面に多くの情報を掲載することで、検索ユーザーの興味関心分野とWebページのマッチング度合いを示唆することが可能です。
構造化マークアップのミスで情報掲載するチャンスを逃すことは、間接的に検索ユーザーにとっての不利益に他なりません。そのため、Googleはサーチコンソールの機能として「解析不能な構造化データ」を用意し、正しい内容への修正を促します。
2.解析不能な構造化データの見方
解析不能な構造化データが検出されると、メールによってエラーメッセージが届きます。エラーメッセージ内のリンクをクリックすると、サーチコンソールが起動するため、問題が検出されたWebページのURLをチェックしましょう。
URLをクリックするとWebページの解析が始まり、結果を表示してくれます。結果において赤くハイライトされた部分が「解析不能な構造化データ」と判断された部分にあたるため、正しい内容への修正を進めてください。
メールで通知が届く前の段階では、下記の手順に従って、解析不能な構造化データの有無を調べることが可能です。
- (1)サーチコンソールにログインする
- (2)拡張>解析不能な構造化データをクリックする
「解析不能な構造化データ」をクリックした後の確認作業は、メールによる通知が届いた場合と同様です。問題が検出された場所と問題ごとのトラブル詳細を確認し、対応を進めましょう。
3.解析不能な構造化データのレポート対象となるエラータイプ
「解析不能な構造化データをなくしたい」と思っても、「どこの何が問題でエラーが検出されたのか」が分からなければ、改善方法を見出せません。解析不能な構造化データでレポート対象になるエラータイプを把握することにより、問題が検出される場面に備えましょう。
解析不能な構造化データでレポート対象となるエラータイプの主な種類と内容は、下記の通りです。
エラータイプ 内容 無効なJSONドキュメントです JSON-LDの構文エラーが見られる 値の型が正しくありません プロパティに指定した値の記述に誤りがある
例:数値を入れるべき部分に文字列が入っているなど解析エラー:「:」がありません 構造化データの中に「:」記号が見つからない 解析エラー:「}」またはオブジェクトメンバー名がありません 構造化データの中に「}」記号が見つからないもしくは、オブジェクトメンバー名が見つからない
例:「}」の直後に「‚」を記載した・「“」の代わりに「’」を使用したなど無効な数値です プロパティに登録した属性値に誤りがある 文字列中に空のエスケープシーケンスがあります エスケープシーケンス(エスケープ文字)の使い方に誤りがある
例:「<>」や「\」を文字列として使用したなど文字列中に無効なエスケープシーケンスがあります 「文字列中に空のエスケープシーケンスがあります」同様、エスケープシーケンスの使い方に誤りがある
例:「¥」ではなく、「¥」を使用したなど無効なUnicodeエスケープシーケンス:4桁必要です Unicodeエスケープシーケンスに誤りがある 無効なUnicodeエスケープシーケンス:16進数が必要です 「無効なUnicodeエスケープシーケンス:4桁必要です」同様、Unicodeエスケープシーケンスに誤りがある 一意のプロパティが重複しています 唯一にしなくてはならない構造化データオブジェクトに対し、2個以上の定義がある
例:@context値を2個、定義したなど
出典:Search Console ヘルプ「解析できない構造化データのレポート」
Webサイトやブログの全ページでエラーが検出される場合は、CMSのテンプレート(テーマ)に関する問題を疑いましょう。個別の投稿やブログ記事ページ、特定のWebページにおいてのみエラーが検出される場合は、別の問題を疑います。
3-1.解析不能な構造化データでよくあるエラー
Googleでは、構造化マークアップにJSON-LD(ジェイソン・エルディ)を使用する方法を推奨します。JSON-LDを使用する方法とは、HTMLファイル内にscriptタグを記載して構造化データを盛り込み、情報伝達する方法です。
JSON-LDを使用する方法では、構造化データの書き方のルールが厳格に決まっています。「‚(カンマ)」や「}(かっこ)」が1個抜けただけでも、構造化データのエラーが出るため、注意しましょう。
「文字列中に空のエスケープシーケンスがあります」「無効なエスケープシーケンスがあります」が多く見られる場合には、使い方の確認が必要です。「¥」や「<>」などの不用意な使用を避けることで、エラーが出る事態を避けられます。
また、「¥」や「<>」は値段の表記、顔文字で使用される可能性の高い文字にあたるため、事前の確認がおすすめです。「¥(半角円マーク)」は「¥(全角円マーク)」に変更するなどの対策をとることで、エラーを回避することができます。
4.解析不能な構造化データでエラーが発生した場合の対処法
構造化データのエラーが見られる場合には、問題の発生した箇所・内容を確認し、リッチリザルトテストを使用して、修正・テストを進めます。
リッチリザルトテストとは、Googleの提供する構造化データのデバック専用ツールです。問題の発生した箇所の修正を終えた後に対象WebページのURLを入力し、「URLをテスト」をクリックすると、結果を表示してくれます。
一連の流れで重要なポイントは、問題の発生した箇所の修正です。たとえば値の型が正しくない場合・顔文字が原因の場合、下記のような修正を加えることが検討されます。
- 値の型が正しくない場合
JSON-LDでは、文字列の値を「”(ダブルクォテーション)」で囲みます。「’」を使用するとエラーが出るため、「”」に修正しましょう。 - 顔文字が原因の場合
顔文字中の半角バックスラッシュを全角バックスラッシュに置き換えるなど、エスケープシーケンスとみなされない書き方に変更しましょう。
上記はあくまで対処法の一例に過ぎず、問題内容に応じた修正が必要です。エラーが出たWebページの修正をすべて終えた後には、Googleに対して変更の検証をリクエストし、「修正済み」ステータスに変わることを確認しましょう。
まとめ
今回は、解析不能な構造化データの基礎知識と、適切な構造化マークアップに修正することのメリット、よくあるエラー内容について紹介しました。
解析不能な構造化データ関連の問題は、JSON-LDの構文に誤りが見られる場合や、エスケープシーケンスの使い方に問題がある場合などにメールで届きます。構造化データでエラーが発生した場合には、問題箇所・内容を特定した上で修正し、Googleの検証を受けてください。
解析不能な構造化データ関連の問題を放置することは、リッチスニペットが表示されないなどのトラブルにつながります。重要度の高い問題から修正を進め、検索エンジンに対する適切な情報伝達に努めてください。
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