MAとABMの違いは?ABMが重要な理由とメリットも解説!
MA(マーケティングオートメーション)の登場によりBtoBマーケティングの戦略や施策は大きく変容を遂げましたが、近年ではABMという手法が大きな注目を集めています。MAとABMは顧客にアプローチする手法である点は共通していますが、ABMはMAとは大きく異なる特徴を持っています。
そこで今回は、MAとABMの違いから、ABMをマーケティングに取り入れるメリット、ABM実施の流れ・ポイントまでを紹介します。ABMの導入や活用に興味がある人や、マーケティング戦略の見直しにABMを検討している人は、ぜひ参考にしてください。
1.MAとABMの違いとは?
MAとABMの大きな違いは、「誰に対して、どのようにアプローチするか」という点です。どちらの手法も自社の売上に繋がる顧客へアプローチする点では共通していますが、対象となる顧客とアプローチ方法については明確な違いが見られます。
MAとABMの違いを理解することは、ABMを活用するうえで非常に重要であるため、導入を検討している人は確認しておくことをおすすめします。
ここでは、MAとABMそれぞれの手法の特徴について解説しているため、相違点を意識しながら確認してください。
1-1.不特定多数に営業する手法が「MA」
MA(マーケティングオートメーション)とは、顧客情報の収集・分析・アプローチのマーケティング・営業のプロセスを自動化するツールを活用したマーケティング手法です。
MAツールは、顧客の購買履歴やWebサイトの訪問履歴などを分析したり、スコアリングを行ったりして、顧客の状態や傾向を可視化することができます。BtoB戦略においてMAの手法を活用する場合は、不特定多数の企業を対象とした情報収集・アプローチを効率化する点に特徴があります。
1-2.個別にアプローチする手法が「ABM」
一方で、ABMの手法をBtoB戦略に活用する場合は、アプローチの対象となる企業を絞り込み、さまざまな方法を駆使して個別のアプローチを行う点が特徴です。企業アカウント単位で施策の実践を行うことから、アカウントベースドマーケティングとも呼ばれます。
自社にとって有力な顧客に経営資源を集中させることで、アプローチの精度や成果を高めることを期待できます。
ABM手法の歴史は古く、BtoB戦略に有効な考え方・手法として2003年頃にイギリスのマーケティングコンサルティング会社により提唱されたと言われています。しかし、当時はABMを実践するための環境やデータが揃っておらず、実践は難しかった実情があります。
近年では、デジタルツールの充実によりABMの実践が可能な環境が整ったため、再び大きな注目を集めています。
2.MAではなくABMが注目されている理由
ABMが再び注目を集めている理由は、MAやSFAといったABM施策を効率よく実践できるデジタルツールが充実してきているためです。
ABM自体は以前から有用性の高いBtoB戦略として存在していますが、従来の組織では情報の共有や素早い施策の実施が難しく、的確なアプローチができないことが課題でした。近年ではMAやSFAを活用する企業が増えてきており、ツールの機能や性能も充実してきたため、これらを活用することでABMをスムーズに実施できる環境を整えられます。
また、ABMはMAの戦略や技術と親和性が高く、MA単体でBtoB戦略を行うよりもABMと連携させたほうが高い成果を期待できることも、注目を集めている理由として考えられます。
3.ABMを取り入れるメリット
ABMが多方面から注目を集め、実際に導入する企業が増えてきている理由は、ABMには他のマーケティング手法にはない独自のメリットがあるためです。
ここでは、ABMをマーケティングに取り入れることで得られる代表的なメリットについて、2点解説します。
3-1.営業とマーケティングが連携を取れる
ABMを導入する大きなメリットは、ABMを運用する過程で営業とマーケティングの連携が自然と取れるようになる点にあります。
営業とマーケティングは本来連携することで相乗効果を発揮する性質を持ちますが、部門が分かれていることにより別々に機能しているケースが多く見られます。
しかし、ABMにおいては、営業部門とマーケティング部門の情報共有や施策実施時の協力関係がなければ、顧客への的確なアプローチを行うことはできません。ゴールに向けてABMを運用するうちに連携を取らなければならない機会が必然的に増えるため、営業とマーケティングの連携は日々強まり相互理解も深まっていくでしょう。
本来あるべき営業とマーケティングの連携が取れるようになることは、会社の成長にとっても大きなプラスとなります。
3-2.有力なターゲットに無駄なく集中できる
ABMの特徴は、有力なターゲットを特定してマーケティング・セールスの各施策を集中的に投下できる点にあります。ターゲットの選定とマーケティング・アプローチの戦略を的確に行うことができれば、高い成果を高精度で得られる点が大きなメリットです。
幅広い顧客を網羅するMAのマーケティング手法と比べると、人材・資金といったリソースの無駄を大幅に省いて、効率的なマーケティングを実践することができます。また、徹底した顧客志向のマーケティングを展開できることもメリットです。
ABMの手法を社内で確立することができれば、明確なターゲットに対して経営資源を集中投下することができるでしょう。
4.ABM施策を実施する流れとポイント
ABM施策を実施する際には、ABMの強みを発揮するために、いくつかのポイントを押さえながら施策を進めることが重要となります。
ここでは、ABM施策を実施する際の流れと各ステップで押さえるべきポイントについて解説します。ABMを自社のマーケティングに導入して成果に繋げたい人は、ぜひ参考にしてください。
4-1.STEP1:キーパーソンを絞り込む
ABMでは、大きな売上が見込めそうな企業をターゲティングすることからはじまります。ターゲット企業を絞り込めたら、その企業に対してのアプローチ方法を決めるため、経営課題や経営状況などの詳細な情報を洗い出し、プロファイリングを実施します。
そこで重要となるポイントが、ターゲット企業のキーパーソンにアプローチを行うために、あらかじめキーパーソンを特定しておくことです。キーパーソンについては、企業の組織図を頼りに目星を立てることができます。組織図に記載されていないキーパーソンについては、営業現場からの情報を頼りに組織図に書き足しておきましょう。
ABMは不特定多数にアプローチするマーケティング手法とは異なり、「特定企業の特定人物と商談を行う」ことで確度の高いアプローチを行う手法です。具体的な戦略の立案や施策実行のためにも、事前にキーパーソンを明確に洗い出しておくことが非常に重要なポイントとなります。
4-2.STEP2:最適な方法でアプローチする
ABMにおいては特定の企業のキーパーソンを絞り込んでアプローチを行う手法であるため、あらゆる方法のなかから最適な方法を選択してアプローチを行うことが重要です。アプローチの方法には、セミナー・展示会・メール・電話などさまざまな方法が考えられますが、「自社のコンテンツ」をキーパーソンに見てもらうことが基本となります。
コンテンツを展開するためにはペルソナを設定することが重要ですが、ABMにおいてはキーパーソンが既に設定されています。そのため、キーパーソンにどのようなコンテンツをどのように見てもらうかを考えることが、ABMにおいて最適なアプローチを行う鍵となります。
コンテンツ展開の過程でキーパーソンからの問い合わせや質疑応答が発生することもあるため、フレキシブルに対応できるように準備しておくことが重要です。
4-3.STEP3:効果測定から改善策を練る
ABMにおいても、他のマーケティング手法と同じく実践した内容について効果測定を行い、改善を重ねて精度を高めていくことが重要です。
ABMにおける効果測定・効果検証のポイントは、企業ごとに分けて数字で細かく把握することです。丁寧に数字を把握することで正確な効果測定が可能となり、的確な改善策を導き出すことができます。
まとめ
ABM自体は比較的古くから存在するBtoB戦略の手法ですが、近年のデジタルツールの発達により再び大きな注目を集めています。現代型のABMの実践にはMAやSFAが必須となりますが、既に現場で使用している企業であれば、そのままABMの導入に活用することができます。
MAが主流となっているBtoB市場において、ABMを導入して効果的に実践することができれば、より大きな成果を期待できます。また、競合企業よりも精度の高い顧客アプローチを行うことで、差別化に繋げることもできるでしょう。
BtoBマーケティング戦略の見直しを行いたい人や、より大きな成果を出したい人は、ABMについて理解を深め、自社のマーケティング活動に取り入れてはいかがでしょうか。
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