PWAとは|ネイティブアプリとの違いや導入のメリットを紹介
近年はWebサイトをスマートフォンで閲覧する人が増えているため、スマートフォン環境に適したWebサイトを設計することが求められています。
スマートフォンサイトの利便性を高めたい場合は、PWAの導入がおすすめです。
ネイティブアプリのような使用環境を実現できるため、ページビューやユーザビリティの向上にも効果があります。
今回の記事では、PWAの概要や、主な機能と特徴、メリット・デメリットについて解説します。
企業のSEO担当者の人はぜひ参考にしてください。
1.PWAとは
PWAとは「Progressive Web Apps」の略で、Webサイトをスマホアプリのように動作させる仕組みを指します。
例えば、スマートフォンでインターネットを閲覧している際に「スムーズに表示されるスマホアプリのようなWebサイト」を見かけたことはないでしょうか。
アプリのようなスムーズさがあるWebサイトの多くは、PWAを導入しています。
近年、日本におけるスマートフォンの利用率は年々上昇しています。
企業のSEO担当者にとって、スマートフォンに対応したWebサイトの最適化は大きな課題の一つです。
PWAを実装することで、プッシュ通知やオフライン対応などができるようになるため、ユーザーの利便性が飛躍的に上がります。
他のWebサイトとの差別化にも繋がるため、導入を検討するとよいでしょう。
1-1.ネイティブアプリとの違い
PWAはプッシュ通知やオフラインの閲覧に対応しているため、スマートフォンのネイティブアプリと同じような仕組みと考える人も多くいるでしょう。
しかし、PWAとネイティブアプリは閲覧環境が異なります。
PWAはWebサイトに導入する機能です。
そのため、PWA導入サイトはWebページで構成されており、Webブラウザを用いて閲覧します。
一方で、ネイティブアプリはJavaやObject-Cなどのプログラミング言語で開発されたソフトウェアです。
使用するためには、アプリケーションを端末にインストールする必要があります。
2.PWAの主な機能と特徴
PWAの最大の利点は、Webサイトをネイティブアプリのように使用できることです。
具体的には、以下のような特徴と機能があります。
●プッシュ通知
プッシュ通知は、ユーザーにとって有用な情報をスマホアプリが自動的に知らせてくれる機能です。
情報の種類としては、新着メッセージ一覧・セールの開始・ニュース記事速報などが挙げられます。
PWAサイトにおいては、記事更新通知やイベントお知らせなどの通知が多い傾向にあります。また、通知の方法は、着信音・バイブレーション・ステータスバーへの表示・アイコンバッジなど、ユーザーが自由に選択可能です。
●表示速度の高速化
ネイティブアプリと異なりPWAではキャッシュを利用できるため、ページの読込速度が非常に速くなります。
Webサイトをスムーズに表示させることは、ユーザビリティの向上に直結します。
ページのロードを待っている間に「読み込み中」などのオリジナル画面を表示させることも可能です。
●位置情報の利用
スマホアプリのようにユーザーの位置情報を利用して、Webサイトの表示に反映させることができます。
そのため、ユーザーの現在地に近いお店を紹介したり、地図上にユーザーの位置を表示したりすることが可能になります。
●キャッシュの利用
PWAではキャッシュを利用できるため、オフラインでもWebサイトの閲覧が可能です。
ただし、通信が必要な機能の場合は、キャッシュの利用が制限されます。
そのため、「入力に時間がかかるデータをオフラインで入力できるように設計し、オンラインになったら送信する」などの使い方がされています。
3.PWAを採用するメリット2選&デメリット2選
PWAはスマホユーザーにとって便利な機能です。
一方で、スマホユーザーへアプローチする手段には、PWAだけでなくスマホアプリも挙げられます。
以下では、PWAを採用するメリットとデメリットについて紹介します。
PWAを採用していないWebサイトやスマホアプリと比較を行って解説するため、ぜひ参考にしてください。
3-1.メリット①ユーザーエンゲージメントを向上できる
PWAを導入することで、スマートフォンのホーム画面上に、Webサイトをアイコンとして表示させることができます。
そのため、通常のWebサイトと比較してアクセス数の向上が見込めます。
また、プッシュ通知を利用することで、企業側は新商品の入荷やキャンペーン開催の情報をユーザーに知らせることが可能です。
企業側から積極的にアプローチできるため、しばらく来訪がないユーザーを呼び戻す効果が期待できます。
PWAを用いることでユーザーとの接点が増えるため、ユーザーエンゲージメントが上昇します。
3-2.メリット②ユーザー体験を改善できる
Webサイトを改善するときは「ユーザー体験の向上」に着目して施策を行うとよいでしょう。
ユーザー体験を向上させるためには、ユーザーが求めている情報へスムーズに導き、心地よく閲覧できる環境を構築することが大切です。
PWAはキャッシュを利用できるため、Webサイトの読込速度を高速化できます。
Webサイトの表示速度はユーザーの直帰率に大きく影響するため、SEO対策においても重要な要素です。
WebサイトにPWAを導入することでユーザーのストレスを減らし、結果的にユーザー体験を高めることができます。
3-3.デメリット①アプリストア経由で新規ユーザーを獲得できない
アプリストアはスマートフォンユーザーにとって、使い勝手のよい機能です。
自社のアプリがアプリストアで紹介されたり、メディアのアプリランキングなどに掲載されたりすれば、多くの新規ユーザーを獲得できるでしょう。
しかし、PWAはアプリのダウンロードを必要としないため、アプリストアからのユーザー流入は期待できません。
ネイティブアプリとPWAの両方を開発することはできますが、それぞれにコストが必要となります。
3-4.デメリット②iOSでは一部の機能が制限される
PWAは、iOSにおいて一部の機能が制限されています。
下記は、代表的な制限機能です。
- プッシュ通知を使用できない
- オフラインでのデータ容量が制限される
- バックグラウンドでサーバーとデータ送受信ができない
- アプリ内課金に対応していない
日本では、多くのユーザーがiOSを使用しています。
そのため、iOSにおいて機能が一部制限される点は、PWAのデメリットと言えるでしょう。
4.PWAの導入事例
PWAは、上手に利用することで、ユーザーにとっても企業にとってもメリットがあるサービスです。
そのため、多くの企業がWebサイトにPWAを採用しています。
以下は、日本のPWA対応サイトにおける導入事例と実装の効果です。
●賃貸物件検索サイト
賃貸物件を探しているユーザーは、新しい物件情報が載っていないか何度もWebサイトを閲覧する傾向にあります。
そこで、賃貸物件検索サイトでユーザーが探している部屋の条件に合う新着物件を、プッシュ通知で知らせるようにPWAを実装しました。
PWA実装の結果、この賃貸物件検索サイトはプッシュ通知の開封率に関して31%という高い数値を記録しました。
●BtoBのECサイト
BtoBにおいても、多くのユーザーがスマホアプリではなくWebサイトを利用しています。
そのため、BtoBのECサイトではPWAを導入することで、月間のアクティブ利用者数やスマホ利用者のコンバージョン数が大きく向上しました。
●格安旅行検索サイト
格安旅行検索サイトでは、スマートフォンでのWebサイト閲覧を高速化するAMPとPWAを採用して、ユーザー体験を改善しました。
この施策によりWebサイトの読込速度は12秒から1秒へ短縮され、ユーザーの直帰率は20%減少しています。
●天気予報情報サイト
利用ユーザーの半数は、スマホアプリではなくWebサイトを利用していたため、WebサイトにPWAを採用しました。
Webサイトの読込速度は80%も向上し、インターネット環境がよくない状況でもストレスなく閲覧できるように改善されています。
まとめ
PWAはWebサイトの利便性を高め、集客を向上させるためにとても有効的な技術です。
プッシュ通知・Webサイトの高速化・キャッシュの活用などができるようになるため、コンバージョン率を高めることも可能となります。
ただし、iOSでは一部機能が制限される点や、アプリストアからダウンロードができない点に注意が必要です。
ここまで紹介したことを参考に、ぜひ自社のWebサイトにPWAを導入してみてはいかがでしょうか。