ザイオンス効果とは?ビジネスへの活用法3つ・2つの注意点
効率の良いマーケティングを行うために、顧客の購買意欲を高めるような心理学は、広く活用されています。マーケティングに応用できる心理効果の中でも、特に多くの企業に活用されているものが、ザイオンス効果です。
当記事では、ザイオンス効果とは何かを解説したうえで、ザイオンス効果のマーケティング活用例やザイオンス効果を用いる際の注意点を紹介します。企業で営業やマーケティングを担当しているものの、成果が上がらず悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
1.ザイオンス効果とは?
ザイオンス効果とは、何度も目にするものや何度も会う人などに対し、徐々に好感を抱くようになる心理効果です。アメリカの社会心理学者であるロバートザイオンスが1968年に提唱したことにより、広く知られるようになりました。なお、ザイオンス効果は、「単純接触効果」や「熟知性の法則」とも呼ばれます。
人は、普段接触することのないものに対し、警戒心を抱きやすいものです。また、よほどの魅力がない限り、初めて見聞きするものに興味を示すこともありません。しかし、接触機会が増えれば増えるほど警戒心がほぐれ、親しみを覚えるようになります。これが、ザイオンス効果のメカニズムです。
ザイオンス効果は、決して珍しいものではなく、日常生活の中では以下のようなザイオンス効果の事例が見られます。
- 毎日利用するコーヒー店の店員に対して恋愛感情を抱く
- 同じ広告を何度も見かけることで商品のファンになる
- 毎週アニメを見ているうちに、オープニングやエンディングの曲が好きになる
- テレビによく出ている人気芸能人を好きになる
- SNSでよく見かけるスポットに関心を持ち、足を運んでみたくなる
ザイオンス効果を意識して生活してみると、上記以外にもさまざまな場面でザイオンス効果発見できるでしょう。
2.ザイオンス効果のマーケティング活用例
ザイオンス効果は、ビジネスシーンのあらゆる場面で活用されています。特に、マーケティング領域におけるザイオンス効果の汎用性は高く、その有効性も無視できるものではありません。そのため、企業のマーケティング担当者は、ザイオンス効果の活用方法を押さえておくとよいでしょう。
以下より、Webマーケティング・営業・TVCMなどの広告におけるザイオンス効果の活用事例を紹介します。
2-1.Webマーケティング
Webマーケティングにおいて、ザイオンス効果の活用は欠かせません。中でも、ザイオンス効果が大いに活用されているマーケティング施策は、次の3つです。
- リマーケティング(リターゲティング)広告
- メールマガジン
- ブログ・SNS
以下より、それぞれの施策におけるザイオンス効果の活用方法を解説します。
○リマーケティング(リターゲティング)広告
リマーケティング(リターゲティング)広告とは、一度自社のWebサイトなどを訪れたことがあるユーザーに対して広告を配信するWeb広告の一種です。リマーケティング広告は同一ユーザーに繰り返し配信できるため、ザイオンス効果による好感度や購買意欲の向上を期待できます。
○メールマガジン
メールマガジンは、購読を希望したユーザーに対し、商品・サービスの情報などを配信するサービスです。定期的にユーザーへアプローチすることで、ザイオンス効果を喚起します。ユーザーにとって役立つ情報を厳選して配信すれば、ザイオンス効果がさらに増幅し、高い集客効果を得られるでしょう。
○ブログ・SNS
ブログやSNSでこまめに情報発信を行うことも、ザイオンス効果を狙えるWebマーケティング施策です。ブログでは読者機能や通知機能の設置、SNSではフォロワーの獲得やSNS広告の活用などにより、ザイオンス効果の向上を図ることができます。ブログもSNSも、コンテンツの質を高めることがキーポイントとなるでしょう。
なお、アプリを配信している場合には、プッシュ通知を活用することもおすすめです。プッシュ通知によって、アプリの情報を何度も表示させることで、ザイオンス効果を引き出せます。
2-2.営業
一度断られた営業先に足を運ぶよりも、新しい営業先を探した方が営業効率を高められるのではないかと考える人は多いでしょう。
しかし実は、新しい営業先を探すよりも、一度断られた営業先に足しげく通った方が、営業の成功率が高いと言われています。なぜなら、営業先に何度も接触することによってザイオンス効果が喚起され、良好な関係を築けるためです。
はじめは「何を売りつけられるのか」と身構えていた営業先も、営業担当者の人となりを知るうちに、「話くらいは聞いてみようか」と態度を軟化させることは少なくありません。また、営業先に苦手意識を持っていた営業自身も、何度も接するうちに営業先に好感を持つようになり、営業先のニーズに沿う営業活動が行いやすくなるでしょう。
2-3.TVCMなどの広告
お店に似たような商品がたくさん並んでいる中で、TVCMで見たことがある商品を選んだ経験がある人は少なくないでしょう。これは、何度も同じTVCMを見ているうちにザイオンス効果が生じ、その商品がひときわ優れているものだと感じられるようになったためです。
TVCM以外にも、ラジオCMや屋外広告など、たくさんの人が何度も目にしたり耳にしたりする広告には、より多くの人にザイオンス効果をもたらすことを期待できます。これらの広告手法を活用し、人々の印象に強く残るプロモーションを繰り返し実施すれば、実質的な市場の独占も目指せるでしょう。
3.ザイオンス効果を用いる際の注意点
ザイオンス効果はマーケティング活動に取り入れやすい心理効果です。しかし、ザイオンス効果が必ずしもメリットをもたらしてくれるとは限りません。使い方を誤れば、ザイオンス効果がかえって悪い結果をもたらす恐れもあるため、注意が必要です。
以下では、マーケティング活動でザイオンス効果を用いる際に押さえておきたい注意点を2つ紹介します。
3-1.ザイオンス効果が逆効果となるケースもある
ザイオンス効果によって掻き立てられるものは、好感や親近感、信頼感など、ポジティブな感情だけではありません。
第一印象が良くないと、接触を重ねる度にネガティブなイメージが強調されます。そのうえ、アプローチの回数が多すぎたり、頻度が高すぎたりすれば、かえって嫌悪感を持たれてしまうでしょう。
マーケティング活動でザイオンス効果のメリットを最大限に引き出すためには、最初にポジティブな印象を持たれる必要があります。
3-2.ザイオンス効果を使った施策は適切な回数・頻度で行う
ザイオンス効果を使ったマーケティング施策を打つ際には、適切な回数・頻度で行うことも大切です。
ザイオンス効果が生じることを期待できる接触回数は、7回以上と言われています。これは、「セブンヒッツ理論」として、多くのマーケターが意識している数字です。ただし、ザイオンス効果は、接触回数が10回を超えると効果がないと言われているため、注意してください。
また、接触頻度が高ければ高いほど、ザイオンス効果を喚起できると言われています。そのため、ザイオンス効果を使ったマーケティング施策は、短期集中で実施しましょう。
まとめ
ザイオンス効果は、接触回数が多いものや人などに対し、徐々に好感を抱くようになる心理効果です。ザイオンス効果を活用すれば効率的なマーケティングを実現できるため、Webマーケティングや営業、広告など、あらゆる施策で活用されています。
ただし、第一印象が悪かったり、回数や頻度が適切でなかったりすると、逆効果になってしまうため注意が必要です。マーケティングでザイオンス効果を活用する際には、はじめに好印象を与えるように努め、短期集中で7~10回のアプローチを行うように心がけてください。
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