アプリのディープリンクとは?仕組み・メリットをわかりやすく解説
「ディープリンク」は現在のWebマーケティングにおいて、非常に重要な意味を持つ技術です。しかし、IT用語の中でも最近登場した新しい言葉であるため、ディープリンクに関する知識を持っていない方は多いでしょう。
そこで今回は、ディープリンクという言葉の意味や活用するメリット、具体的な活用事例について解説します。SEOやWebの基礎知識を学びたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
1.ディープリンクとは?
ディープリンクとは、スマートフォン・アプリ内のコンテンツに直接移動できるリンクを指します。具体的な使い方としては、以下の事例が挙げられます。
- Webサイトからスマートフォン・アプリのホーム画面を起動する
- アプリ使用中に別のアプリを起動し、関連コンテンツへ遷移する
- 検索サイトの結果から、アプリ内のコンテンツに直接移動する
スマートフォンやタブレットのブラウザでWebサイトを閲覧中にリンクをクリックした際に、アプリが起動した経験を持つ方は多いでしょう。このような作動には、ディープリンクの技術が利用されています。
1-1.ディープリンクとハイパーリンクの違い
ディープリンクと似た言葉として、ハイパーリンクがあります。ここでは、ディープリンクとハイパーリンクの違いについて、分かりやすく解説します。
「ハイパーリンク」とは、Webページの文字や画像をクリックすると別のページへと遷移する技術を指します。一般には省略して、リンクと呼ばれることが多い傾向にあります。
一方で、もともと「ディープリンク」は他のサイトへ移動する際に、トップページ以外の特定ページへと直接遷移するリンクを区別して呼ばれていた言葉でした。
しかし、Webの発達とともにトップページ以外へのリンクは珍しい使用方法ではなくなり、ディープリンクという言葉が使われなくなった経緯があります。
その後、スマートフォン・アプリが急速に普及し、ダウンロード済みのアプリを起動して特定のコンテンツへ遷移するリンクを「ディープリンク」と呼ぶように変化しました。今日では、ディープリンクといえば後者の使用方法を指すことが一般的です。
2.ディープリンクの仕組み
ディープリンクの仕組みには、「Custom URL Scheme」と「Universal Links」の2種類があります。なお「Universal Links」はiOSアプリにおける名称で、Androidアプリでは「App Links」と呼ばれます。
「Custom URL Scheme」は、該当のアプリをインストールしている場合、「アプリを開きますか?」というダイアログを表示し、ユーザーが許可すると遷移する仕組みです。
ユーザーが該当のアプリをインストールしていない場合は、「ページを開けません」とダイアログが表示され、アプリは起動しません。ただし設定によっては、該当のアプリを新規インストールするページへと遷移することもできます。
「Universal Links」も基本的には「Custom URL Scheme」と同じ仕組みですが、アプリ起動時にダイアログは表示されません。リンクとアプリを紐付けて設定しているため、そのままアプリが起動します。
ユーザーが該当のアプリをインストールしていない場合は、アプリは起動せずに指定したリンク先へと遷移する点が特徴です。
「Custom URL Scheme」と「Universal Links」の違いとしては、ダイアログの表示有無が挙げられます。「Universal Links」は、アプリ起動のダイアログが表示されないため、ユーザーの手間が1アクション少なくなり、ユーザビリティがより高いといえるでしょう。
3.ディープリンクを活用するメリット
ディープリンクの目的は、ただ単にユーザーをスマートフォン・アプリへと誘導するだけではありません。
ディープリンクは、ユーザビリティやマーケティングの面で重要なメリットがあります。特に、代表的な2つのメリットについて、具体例を挙げながら解説します。
3-1.ユーザーの利便性が向上する
Webサイトにハイパーリンクではなくディープリンクを採用することで、ユーザーの利便性が向上する場合があります。例えば、WebサイトからSNSの特定コンテンツへと誘導する場合を考えてみましょう。
ディープリンクが張られていない場合、ユーザー自身がアプリを起動して該当のコンテンツを検索する必要があります。しかし、ディープリンクが張られていることで、1回のタップですぐに特定コンテンツへと、ユーザーを遷移させることが可能です。
操作の手間を減らして即座に情報を表示できることで、ユーザーにストレスを与えません。ディープリンクは、Webサイトとアプリのスムーズな連携に大きな役割を果たす技術といえます。
3-2.コンバージョンにつながりやすくなる
ディープリンクが実現するアプリへのスムーズなアクセスは、コンバージョン率の向上という効果を生み出します。コンバージョンとは、Webマーケティングにおいて、商品販売などの最終的な成果を意味する言葉です。
例えば、ユーザーをWebサイトからECアプリへと誘導する場合を考えてみましょう。
Webサイトを見てアプリで商品を購入したいと思ったユーザーは、アプリを起動して商品を検索し該当のページへアクセスしなければなりません。検索で商品が見つからない場合は、途中で諦めてしまう可能性があります。
しかし、ディープリンクを採用するとWebサイトからアプリの販売ページまで、1回のタップで移動できます。ディープリンクがない場合と比較して商品購入者が増えやすく、コンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
4.ディープリンクの代表的な事例
ディープリンクは、サービスの運営者と利用者の両方にメリットがあるため、多くの企業が採用しています。ディープリンクを提供している代表的な企業としては、以下の例が挙げられます。
- Apple
世界最大規模のWeb検索エンジンであるGoogleは、検索結果や広告の一部に「Firebase App Indexing」と呼ばれるディープリンクを採用しています。
該当のアプリを既にインストールしているユーザーであれば、直接コンテンツへ遷移できる機能です。該当のアプリがインストールされていないユーザーの場合は、アプリストアのインストールページが表示されます。
iPhoneを開発しているAppleは、Webサイトからアプリへと誘導できる「Universal Links」を提供しています。「Universal Links」は、インストール済みユーザーには1回のタップで該当のアプリ内コンテンツへ遷移します。
アプリをインストールしていない場合は、指定したページへユーザーを遷移させることが可能です。
Twitterは、ツイートにアイキャッチ画像やタイトルなどのページ情報が入ったリンクをカスタム表示できる「Twitterカード」と呼ばれる機能を提供しています。
Twitterカードには4つの種類がありますが、このうちアプリのダウンロードを誘導する「App Card」にディープリンクを作成できます。
Facebookは、「App Links」と呼ばれるディープリンクを提供しています。Facebookの投稿からアプリの特定コンテンツへ遷移できる機能です。
このように、多くのWebサービスでは、ユーザーの利便性向上を目的にディープリンクを活用しています。スマートフォン・アプリとWebサイトのスムーズな連携を考えている方は、ディープリンクの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ディープリンクはユーザーに複雑な操作を強いることなく、即座にスマートフォン・アプリのコンテンツを表示させることができる仕組みです。
ディープリンクには、ユーザーにとっての利便性だけではなく、コンバージョン率の向上というサイト運営者にとってのメリットもあります。
自社でWebサイトとスマートフォン・アプリの両方を運営している場合は、両者の連携強化のために、ぜひディープリンクの実装を検討してみましょう。